2022年6月6日、東京地裁において関川泰寛牧師(東京神学大学元教授)が東京神学大学学長に対して提訴していた裁判の判決が下されました。この件について、会員制ニュースサイト(弁護士ドットコム)の中で共同通信が以下のように報じています。
「東京神学大(東京都三鷹市)の教授だった男性がパワハラによって退職を余儀なくされたとして、現学長理事に3500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は6日、ブログに「悪魔的人間」と投稿するなどしたのは名誉毀損(きそん)に当たるとして、30万円の支払いを命じた。
判決によると、学長理事は2017~18年、当時の学長選挙で選出されなかった理由に関し、「最も近い人間に嫌がらせをされ、妨害された」などとブログに投稿。男性が20年2月に本学を退職後、3月に事務職員らに「退職に至る経緯」として配った文書の中で、男性が大学を批判する講演をしたり同僚を恫喝したりしたと記載した。
平城恭子(ひらき・きょうこ)裁判長はブログの投稿は人物をイニシャルで記述していても「当時の役職などから、容易に男性と推定できる」と指摘。事務職員への配布文書は「事実の裏付けとなる証拠がなく、男性の言動を非難するものだった」として人権侵害に当たると判断した。
他方、男性はパワハラが原因で20年1月に抑うつ状態と診断され、退職につながったと主張したが、「診断はブログ投稿の約2年後で、文書配布前だ」として因果関係を認めなかった」
上記の記事に記されているように、今回の東京地裁の判決において、東神大の現役の学長が、関川元教授に対して行った複数のハラスメント行為が認定され、その行為が人権侵害に当たるとして、学長個人に対して損害賠償の支払いが命じられました。
判決文によると、関川元教授が退職届を提出した後になって、学長が、関川元教授を非難する文書を(東神大の)全事務職員に対して配布しました。当該文書の配布に関しては、当時の理事長(前理事長)、現常務理事、加えて(教授会の現在の)書記も深く関与していることが裁判所によって事実として認定されています。
学長主導のもと、一教師を追い詰めるために、いわば組織ぐるみとなって、非常に卑劣な不法行為が行われていたことが、裁判所によって明らかにされたのです。
また東神大の元学生が、2020年に学長並びに前理事長を相手取って提訴していた別の裁判においても、学長が元学生の成績等を公の場で暴露したことに対するプライバシー侵害が認められ、元学生に対して、損害賠償の支払いを命じる一審判決が東京地裁によって出されています(現在、東京高裁にて控訴審が行われています)。東京神学大学の現役の学長が元教授や元学生から相次いで訴訟を起こされ、いずれも不法行為が認められるという前代未聞の事態が起こっているのです。
この二つの判決を受けて、(常務理事を兼任する)学長、現理事長、理事会、評議員会が今後どのような対応を取るのかが、非常に注目されます。学長及び理事長は、これまでは、裁判において係争中であることを理由として、裁判に関するコメントを忌避してきました。しかし、文科省から私学助成金を得ている一学校法人として、司法による客観的な判断が下された以上、理事会並びに教授会は、これまでの学長を中心とした組織ぐるみの不祥事及びその隠蔽工作に対して、これまで同様の曖昧な処分で誤魔化し続けることは絶対に許されません。責任の所在の明確化と東神大を支える諸教会、信徒、キリスト教学校に対する説明責任が果たされることを強く求めます。
東京神学大学がこのことを自覚し、悪弊を完全に駆逐し、抜本的な改革を断行しない限りにおいては、信徒に対し、どれほど献金を呼びかけたところで、衰退の一途を辿っていくことは、言うまでもありません。
加えて東神大は、私学助成金を認可する文科省に対し、これまでの幾多の不祥事に対する明確な説明をしなくてはならない義務も生じています。
東京神学大学はこの世にあって伝道者を生み出す神学校として、文科省認可の一学校法人として、一般社会と照らして、より高い人権意識、コンプライアンス意識を持つことが求められるのです。
Comments