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【山梨英和大学におけるハラスメントと東京神学大学】

toshindaimondai

更新日:5 日前

◆山梨英和大学と東京神学大学

 朝日新聞をはじめ複数のメディアによると、山梨英和大学が朴憲郁学長と法人本部事務局長による元教員へのパワ-ハラスメントを認定したという(『朝日新聞』2025年1月31日付)。

 

 これらの報道を受けて山梨英和大学はウェブサイト上で副学長、大学事務部長名で「ハラスメントに関する報道について」と題する以下の声明を発表した。


「平素より本学の教育・運営にご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。さて、既に報道されておりますように、このたび本法人においてハラスメント事案が発生し、調査の結果、大学学長および法人本部事務局長の2名がハラスメント行為に該当すると認定されました。今後は規程に基づき、適切な処分が決定されます。処分決定後は、法人責任者より速やかにその結果を公表いたします。

 このような事態が発生しましたことにより、在学生、受験生、保護者、卒業生の皆様をはじめとする関係者の皆様に、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。本学はこの問題を厳粛に受け止め、再発防止に向けた施策を迅速かつ確実に実施してまいります。学生の皆様が安心して学びに専念できる環境を確保し、建学の精神に基づく誠実な大学運営を続けていくことをお約束いたします。引き続き、本学へのご理解とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」


 この声明にあるとおり、山梨英和大学は学長及び法人本部事務局長によるハラスメント行為を認定し、適切な処分を決定するという。

 

 山梨英和大学の朴憲郁学長は東京神学大学で専任教員として勤めた後、現在も特任教授として学生に教えている(報道後の2月1日付で東京神学大学は朴教授の授業動画をウェブサイトにアップしている)。


 今回の山梨英和大学での事件を受けて、朴氏を特任教授として任用している東京神学大学がどのような対応を取るのかが注目される。


◆これまでの東京神学大学の対応

 東京神学大学ではこれまでに芳賀力前学長による元学生に対するプライバシー権の侵害及び元教授に対する人格権の侵害が裁判によって不法行為として認められてきた。


 さらに現在も別の元学生によって、法人理事、現学長、教師2名を相手取って裁判が行なわれている。


 しかし、東京神学大学は裁判によって芳賀学長(当時)の不法行為が認められても何らの処分も行なわなかった。

 

 判決が下った当時、東京神学大学はウェブサイト上において理事会名で以下のような説明を行なっている(2023年3月1日)。


「芳賀力学長は、2021年12月に東京地方裁判所より、プライバシー権侵害のため賠償金の支払いを命じられました。「ハラスメントの事件」と言われた問題を牧師たちに説明した際に、プライバシー権を侵害したというものです。その後控訴し、控訴棄却の判決を受け、さらに上告しておりましたが、この度、最高裁判所による上告棄却によって判決が確定しました。芳賀学長はこの判決確定を受け、賠償金の支払いを行いました。

 理事会としては、この判決の確定を受け、改めて神の御前に立たされ、東京神学大学が主なる神の御旨にかなった神学教育、伝道者養成を、主イエス・キリストにある愛と謙遜によって、また御霊の力を与えられて、進めていくことができるよう、祈り、努力してまいります。この数年の間、種々の困難の中で、芳賀学長の指導のもと教育の質的改善のために努力してきました。今後とも教育の質の向上に向かって、鋭意努力していく所存です。」

 

 この説明を読んでお分かりのように、ここには大学としての反省も悔い改めも示されていない。


 山梨英和大学との対応の差は歴然としている。徹底した自己正当化であり、およそ世間とはかけ離れた倫理観と言わざるを得ない。

 

 また当会代表の松原和仁氏が2023年5月に芳賀前学長に対して授与された名誉称号・学位について、近藤勝彦理事長(当時)宛てに質問状を送付し、以下のような回答を得た(詳細についてはこちらのポストを参照)。


・元学生へのプライバシー権の侵害について

「二人の教授からハラスメントを受けたとして起こされ、後に原告の請求が棄却された裁判について、芳賀力氏が牧師たちに説明した際に、学生の成績に言及したことが、プライバシー侵害とされました。これは東京神学大学を批判する文書が諸教会に送られている中、限られた牧師たちのみの会において起きたことです。東京神学大学の伝道者養成は、諸教会との協力の中で行われていますので、牧師との会談の中で必要性があるときは、信頼関係に基づいて、神学生の成績に言及することは過去にもなかったことではなく、理事会としてこれを大きな逸脱として訓戒等に処することはできないと判断しました」


・元教授への人格権の侵害について

「個人のブログにおける発言が人格権侵害に当たるとされた件については、当時の学長大住雄一教授が注意を与え、芳賀力氏はその記述を削除しました。この事実を知りつつ、後に教授会は芳賀氏を再度学長に選び、理事会がこれを任命ました。従ってこの問題を理由にして名誉称号授与を覆すことができないと理事会は判断しました」


「関川元教授が依願退職した際に事情説明のため芳賀学長が事務職員に配布した文書の一部に名誉棄損に当たる箇所があるとされました。当該文書のほかの部分は裁判所によって事実として認定されましたが、二箇所については証拠が不十分であり、名誉棄損とされました。その二箇所は当時の学内外の意見を聴取しながら記されたもので、他の人の証言も添えられていたことを考え合わせ、理事会として譴責や訓戒等の処分に付すことはできませんでした」


 これらの回答は芳賀元学長を大学として処分しない理由には全くなっていない。これらの説明は東京神学大学のガバナンスが機能不全に陥っていることを自ら示しているようなものである。


◆東京神学大学の義務と責任

 裁判において元学生と元教授に対する不法行為が認定され、さらに現在も複数の裁判が行なわれている。現在ハラスメント行為が問題とされている山梨英和大学の学長は東京神学大学の特任教授でもある。

 

 そのような状況において、すべてを不問に付す東京神学大学の体質は果たして健全と言えるだろうか。


 東京神学大学は文科省から補助金を得て運営している学校法人であり、非常に公益性の高い組織である。そうであればこそ、より高い倫理観と自浄作用が求められる。


 そして某テレビ局と同様に、東京神学大学を祈りと献金によって支えている諸教会、キリスト教学校に対して説明責任を果たし尽くす義務と責任がある。


 さらに、某テレビ局に対しても叫ばれているようにガバナンスを立て直すための組織改革が急務である。それがなければ、東京神学大学は益々衰退の一途を辿っていくことになるだろう。

 

 宗教改革以来の福音主義を標榜するならば、組織を守るために問題を隠蔽することに躍起となるのではなく、まずは自らがみ言葉によって改革されなければならない。

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