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【東京神学大学のダブルスタンダードを問い、検証する】

更新日:2023年12月16日

はじめに


 この度の一連の問題(財務、ハラスメント)を巡る東京神学大学の対応を通して、東京神学大学のダブルスタンダードな姿勢が明らかになりました。それは、関川泰寛元教授に対する対応と芳賀力学長に対する対応の違いに顕著に表れています。ここでは、関川元教授の大学のチャペル礼拝の説教と芳賀学長のブログの文章を参照しながら、東京神学大学理事会が、いかに一貫性のないダブルスタンダードな対応を取っているのかを検証します。


◆関川元教授に対する戒告処分の理由の一つとされた大学チャペル礼拝説教の検証


 関川泰寛氏は2020年3月に約25年務めた東京神学大学を退職しました。その原因となったのは、東京神学大学学長と大学により、組織ぐるみでなされたハラスメントでした。


 退職に先立つ2019年6月、関川泰寛教授(当時)に対して、東京神学大学理事会より、戒告処分が下されました。戒告の理由の一つに挙げられているのが、関川教授が東京神学大学のチャペル礼拝で行った説教です。そこでなされた説教が同僚に対する個人批判を含んでいること、また関川教授が献身者の礼拝出席を軽視する発言をしたなどとして、戒告処分が下されました。2019年6月21日に東京神学大学理事長名で出された戒告書には、戒告理由の一つとして、次のように記されています。


「2019年4月11日(木)、全学礼拝においてなされた説教による特定同僚教授に対する個人批判ならびに献身志願者の礼拝出席を軽視する発言は、召命共同体としての本学の教育理念を著しく損なうものであり(以下略)」


 では、実際にその説教はどのような内容だったのでしょうか。当時のチャペル説教を文字起こししたものを、本ウェブサイト上2019年7月5日付「要望書」に資料として掲載しています。その一部を抜粋して検証を試みます。

 まず、東京神学大学理事会が個人批判であると非難した部分を見てみましょう。関川元教授は説教の冒頭で以下のように語りました。


「東京神学大学は今、危機にある。これは、入学式の開催の後に、理事長が、そういう趣旨のことを語られました。一つは、学長が倒れられて、ご病気になった。これも危機です。伝道者になる人が、少ない。これも危機の一つだと思います。そして3月の終わりに、キリスト新聞、マスコミで、東京神学大学の問題が一般の人たちの目に触れるようになりました。これも危機の一つです。学長代行がご自身のヤフーのブログで、降ってわいたマスコミの対応で大変だった、別件の提訴があった、と公に書かれました。その文章がツイッターに載って、たくさんの人たちに今読まれている、という。東京神学大学で何かが起こってるんだ。マスコミも取り上げるようになったことを、みんなが知るようになった。そして3月31日付けのキリスト新聞の記事に対して、理事長と学長代行の名前で異議申立てが出されました。私たち教授会の者はまったく知らないところで異議申立ての文章が公になりました。おそらくこれも、危機の一つかもしれません。」【赤字は筆者】


1.入学式における理事長の発言について

 伊藤瑞男理事長(当時)が東京神学大学の入学式で語ったことを取り上げたに過ぎません。


2.芳賀学長のブログの文章について

 芳賀学長(当時は学長代行)は2019年4月7日付のブログで次のように述べています。


「あれから、もう一週間が経ったのかと思う。いや、正直なところ、この一週間、実にさまざまなこと(新年度の学内・学外対応の事務、理事会関係、入学式、オリエンテーション、降って湧いたマスコミ対応、別件の提訴等)に対応せざるをえず、時間の感覚を忘れていた」http://theologth.livedoor.blog/archives/2019-04.html)【赤字は筆者】


 関川元教授は芳賀学長自身が、自らのブログに発信したことを、取り上げたに過ぎません。その内容を揶揄し、芳賀学長を直接的に批判した文章ではないことは明らかです。そもそも、ブログは芳賀学長自身が不特定多数の読者に公に公開している文章であって、その内容を説教で取り上げることに何ら問題はないはずです。むしろ、説教に取り上げられたら困るような文章を書いているのだとしたら、そちらの方が問題だと言えるでしょう。


3.キリスト新聞の記事に対する理事長、学長代行による異議申し立てに対する言及

「教授会メンバーの知らないところで、そのような対応がなされた」という事実を語っているにすぎず、これもまた個人批判には当たりません。


4.礼拝出席軽視を語っているという非難

 関川元教授は説教の中盤で次のように語っています。


「今から8年【注:この部分は関川教授の言い間違え。正しくは12年】ほど前ですが、私の息子、長男が伝道者になるというふうに言い始めました。大学4年生のときでした。次の月に、長老会の面接を受けることになりました。その時に、私たちの教会に出席している一人の神学生が、その話を聞きつけて、いや、待ってください、と言いました。あなたの息子さんはこの一年、部活、体育会のサッカー部で、教会の礼拝を休んだことがあったじゃないですか。伝道者にふさわしくない。彼は言い張りました。(中略)じゃあ、私の息子を説得してくれと言いました。あなたが説得して、東神大に行くというのをやめると言うんだったら、もうそれでいい。何とか説得してくれと言いました。その神学生は正義感の強い神学生でした。私の息子の説得にあたりました。あなたは十分な教会生活を、一年間してこなかったじゃないか。思いとどまりなさい。すると私の息子は何と言ったか。お前には言われたくない。ちょっと言葉は汚いですが、今でも覚えています。お前には言われたくない。結局、説得は功を奏しませんでした。長老会は翌月になって私の長男の献身、東京神学大学への進学を認めました。(中略)

 召命というのは、そういうものなんです。私たちが神様に用いられる。そして神の前に働く者になる。私たちが立派だからではありません。人の前に出て、立って立派な祈りをするから、召命があるんじゃないんです。聖書の規則通り、律法通りに生きているから、私たちが伝道者としてふさわしいわけではありません。私の家族から出た10人の、11人の伝道者は、そういう意味では皆、私を含めて、伝道者に最もふさわしくない。でも、神がその貧しき小さな器を用いてくださるのであります」

 

 先に紹介した戒告処分の理由書は「献身者の礼拝出席を軽視する発言」と断定していますが、ここには「献身者の礼拝出席を軽視」していると読み取れる発言はありません。誰もが主の前に欠けのある人間であることの身近なたとえとして、関川元教授の長男のエピソードが語られているにすぎません。東京神学大学理事会は、関川元教授の説教を明らかに恣意的に解釈し、関川元教授を処分するための材料として、この説教を利用していることは明らかです。始めから処分を下すという結論ありきで、大急ぎで材料をかき集めようとしたのだと考えられます。関川教授はいわば理事会や教授会による「でっち上げ」によって、チャペル礼拝説教の内容を非難され、東京神学大学理事会より戒告処分を受けました。


◆芳賀学長のブログにおける関川元教授に対する誹謗中傷


 次に、関川元教授が東京地裁に提起した裁判でも争点となった2017年11月10日、2018年1月22日付で芳賀学長が公開したブログ(「芳賀力のブログ」)の文章【両方とも現在は削除済】を一部抜粋し、検証します。こちらのブログは関川元教授の裁判でも証拠として提出されています。


1.「芳賀力のブログ」【よく訊かれる「なぜですか」に対するもって回った答え】2017年11月10日


 こちらのブログで芳賀学長は次のように記しています。


「あちこちを訪ねると、いろいろなところから、なぜ4年間のポストを降りたのですか、という風に訊かれる。 せっかく50周年キャンパス構想(建築事業)のレールを敷いたのに、と。皆さんには、心底申し訳ないと思う。ただ、最も近いと思っていた人物に、4年間、実にさんざん嫌がらせをやられ、妨害されたことが理由の一つ。私にとっては、こうした人物が同じ共同世界にいるということが 心底驚きであったのだが、東○○○○○の改○○脱退とその後の協議会非参加路線を招いた 数々の実際に起こった「事件」を思い起こせば、なるほど、そういうことだったのかということが納得される。 当時は私も当人の穏やかさのゆえに、まったく判断を誤っていた。被害に遭った当事者たちに訊いてみれば、そのモラ・ハラのすごさが分かる。まあそういうことなのに、トップを含め、実際は大声を上げる人間に 忖度する同僚たちがいるということは実に情けないことだと思う。(私は一切名前を挙げるつもりはない。 それが私にとってのせめてもの「赦し」である)」。【赤字は筆者】


 まず、大前提として、芳賀学長は「ポストを降りた」と述べていますが、学内の規定に基づき、正規の手続きによって行われた選挙で、二期目の学長に選出されなかったというのが正確な事実です。二期目に選出されなかったというのは、一般的に考えれば教授会から信任を得られなかったということでしょう。しかし、そうであるにもかかわらず、あたかも特定の人物によって、嫌がらせをされたため、自ら「ポストを降りた」という印象操作を行い、さらには他の同僚が忖度した結果、自分は学長に選出されなかったかのように語っています。不特定多数の読者に向かって、自らを正当化し、同僚教師に対する事実無根の誹謗中傷を喧伝していました。


1.「芳賀力のブログ」サタノロジーについて一言 2018年1月22日

 

 同僚教師に対する芳賀学長の誹謗中傷は、一度だけではありませんでした。2018年1月22日のブログで、次のように記しています。


「私は悪魔が存在するかどうかは分からない。 でも、悪魔的人間が存在することだけは 信じざるをえない。私の4年間を苦しめ続け、今はぬくぬくと忖度を受ける立場に身を置いているのだから。しかし、なぜそういうS氏のような人間を 目の前にしていた同僚たちが、私をかばってくれなかったのか、皆目見当がつかない。」【赤字は筆者


 裁判でも争点となったことは、ここで名指しされている「S氏」が誰であるのか、ということでした。裁判所はこの点について、当時教授会メンバーに「S」というイニシャルの人物は関川元教授と須田准教授がいたが、関川元教授が書記であったことからしても、その人物が関川元教授であると推知できると認定しました。驚くべき事に、東京神学大学の教師たる人物が、同僚に対して「悪魔的人間」と揶揄し、誹謗中傷する内容のブログを不特定多数の人々に向かって記していたのです。上記二つのブログ記事について、東京地裁は、2022年6月6日の判決で関川元教授の人格権の侵害に当たると認めました。


◆東京神学大学のダブルスタンダード


 上述したように、同僚である関川元教授を「悪魔的」と揶揄し、個人批判する文書を不特定多数の人々に向かって公然と発信していたにもかかわらず、東京神学大学理事会はこのことについて、何の対応も取りませんでした。2022年6月6日に東京地裁において芳賀学長による人格権侵害の不法行為が認定され、損害賠償支払いの命令が下った現在も東京神学大学理事会からコメントは発表されていません。


 関川元教授の説教に関しては、それを厳しく非難し、いとも簡単に戒告処分を下しながら、司法の場において、人格権の侵害の不法行為が認定された芳賀学長には何らの対処もなされないというのは、不可解な判断であると言わざるを得ません。東京神学大学理事会は、ダブルスタンダードと言われても致し方のない対応を続けています。この一連の対応一つとっても、東京神学大学のガバナンスがもはや崩壊していることは明らかです。一刻も早くガバナンスの回復に努め、神学校としての組織改革・意識改革に着手なければ、東京神学大学が今後益々衰退の一途を辿っていくことになるでしょう。




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