◆「涌谷教会裁判を支える会」
先日、「涌谷教会裁判を支える会」より、諸教会宛てに、裁判費用支援のお願いが届きました。そこには、宮城県北部にある現住陪餐会員6名の小さな教会が現在裁判に巻き込まれ、苦闘しているという悲痛な訴えが記されていました。
涌谷教会の前任牧師は、2019年に牧師を解任されたにもかかわらず、それを認めずに、牧師館に居住し続け、2020年3月24日に涌谷教会を被告として仙台地方裁判所に「地位確認、未払い報酬請求事件」を訴えました。一方涌谷教会は「建物明渡等請求事件」として前任牧師を訴え、争っています。そのような中で、2022年9月27日仙台地裁は原告(前任牧師)の請求を棄却し、建物の明渡しを命じました。しかし、前任牧師は控訴。控訴審判決が2023年3月22日に仙台高等裁判所で判決が下されるとのことです。
それまで長年にわたって、地域の人々の信頼を得て、福音宣教に当たってきた地方の小さな一教会が、このような事態によって疲弊しています。先の文書によれば、弁護士費用、高裁着手金等の裁判費用としてすでに215万円を支出しているとのことです。加えて、解任後も牧師館に居住し続けている前任牧師の水道光熱費を教会が負担し続けており、教会財政を圧迫しています。現住陪餐会員6名の教会にはあまりにも大きすぎる負担です。
◆涌谷教会の問題と東京神学大学
涌谷教会の前任牧師は2015年に東京神学大学学長の推薦によって、涌谷教会に着任しました。東京神学大学学長によって推薦された一人の牧師を巡り、隣接する保育園をも巻き込む大きな問題が起きている中で、東京神学大学はもはやこの事態に対して見て見ぬふりはできないのではないでしょうか。せめて、当該牧師を推薦し、送り出したものとして、涌谷教会の現状を正確に把握し、そこに寄り添う姿勢があってしかるべきであると考えます。
また、隣接する涌谷保育園では、元保育士と前任牧師との間で、前任牧師(法人理事長)によるハラスメントを巡って、裁判が続いています。同保育園を運営する社会福祉法人には、東京神学大学名誉教授や東京神学大学同窓会の役員の牧師たちが、理事や評議員に名を連ね、前任牧師である理事長と法人を支えています。
◆学長に人事権が集中することの是非
今回の問題を通して、学長に人事権が集中することの是非を検討すべきではないでしょうか。現状では牧師を推薦した責任の所在が曖昧です。そのほかにも、学長に人事権が集中することの弊害として考えられるのは、そのことによって、学長の顔色をうかがうようになり、在学生も卒業生も神学校に対する真っ当な批判が萎縮させられてしまうということです。このこともまた、神学校を改革していくために、今後検討されるべき事項であると考えます。
◆日本基督教団の対応
また、日本基督教団教師委員会は、東北教区常置委員会から提出された「戒規・適用申請」に対し、「係争中」であることを理由に、戒規を適用しませんでした。第1審において、教会側が勝訴し、間もなく高裁において判決が下されようとしています。そのような中で、日本基督教団はこの世の法に先駆けて、主の教会としての自律性を発揮し、今一度涌谷教会、涌谷保育園で起きている問題と向き合う必要があるのではないでしょうか。
Comments