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【東神大前学長名誉称号授与式・新学長任職式で感じた違和感】

  • toshindaimondai
  • 2023年5月6日
  • 読了時間: 3分

◆前学長に対する名誉学位、名誉称号授与式


 5月2日、東京神学大学芳賀力前学長の名誉称号授与式がYouTubeで配信されました。

それを見て大きな違和感を覚え、衝撃を受けました。

 特に授与式の中で述べられた東神大理事による、以下の祝辞は、異様とも思える内容でした。


「芳賀力先生も冤罪事件に巻き込まれました。改めてあなた方はキリストを信じることだけではなく、キリストのために苦しむ事も恵みとして与えられているとのパウロの言葉を想起させられたことでした。それだけにこの事実はこの世の誰が何と言おうと、東京神学大学を愛し、支える人たちにとっては罪なき主イエス・キリストが私たちの贖いのために十字架につけられたことに通底する、そのことを想起させる誇りとなり冠となる出来事でしかありません」


 驚くべき事に、この理事は、芳賀力前学長によるプライバシー権侵害と、人格権の侵害という2件の不法行為を「冤罪」だと断言したのです。元学生の裁判で芳賀前学長は最高裁、元教授の裁判でも高裁まで争いましたが、その判決は覆りませんでした。(そもそも「冤罪」とは刑事事件の用語であり、この時点で認識を誤っています)。


 この理事は、大学のトップたる人物の不法行為の責任に言及することはおろか、あたかもそれが、不当な判決であるかのように、印象操作を行なっているのです。一般社会の常識と照らし合わせても、到底、理解しがたい発言です。しかもこのような発言が、大学の経営の責任を負っている理事により、公の場でなされてしまいました。このことは、大学のガバナンスがいよいよ崩壊していることを顕著に表わしていると言えるでしょう。


 さらに、芳賀前学長をキリストの十字架の贖いと結び付けて、賞賛している事にも衝撃を受けました。芳賀前学長に対する一連の訴訟は、キリストが十字架につけられた出来事に通底し、「誇りとなり、冠となる出来事」だと言うのです。東京神学大学と、そのトップたる学長が神格化されてしまっていると思わざるを得ない、異様とも言える祝辞でした。


◆新学長任職式


  東京神学大学はもはや、どのような問題が起ころうと、自分たちを無批判に支えてくれる「身内」に対する、内向きなメッセージしか発信できなくなってしまいました。このことは、この4月から新たに就任した神代真砂実学長の任職式(4月18日、YouTubeライブ配信)における式辞でも感じたことです。


 式辞の冒頭で神代真砂実学長は、自らを文房具にたとえるなら「自分は消しゴム」だと語りました。その心は、「消しゴムはいつまでもいるものではない。4年後に良い形でこの務めを次の方に引き継ぐことが私の役目だ」ということのようです。学長に任職されたその日から、退任する日のことについて語り、これから始まる4年間に学長としてなすべき具体的な事柄についての言及は何もありませんでした。そこには、財政的にもガバナンスにおいても、危機的状況にある神学校を、大学のトップとして、今後どのように改革し、建て直していくのか、という前向きなメッセージはありませんでした。


 東京神学大学は、日本に約1700の教会を有する日本基督教団立の唯一の神学校です。災害、コロナ、戦争と混沌とした世界にあって、福音の希望を宣べ伝える伝道者を送り出すために、この世界に向けて前向きなメッセージを発信することこそ、東京神学大学の学長に今求められていることではないでしょうか。学長任職の式辞が極めて内向きかつ、内輪的でスケールの小さなメッセージに終始してしまっていたことは、とても残念なことでした。

 

 自らを客観的に顧みることをせず、自分たちを無批判に支えてくれる内輪に向けてしか、メッセージを発信できない現在の東京神学大学の状況に、さらなる危機感を覚えた、そのような学長任職式でした。


 
 
 

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