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【「前学長に対する名誉学位・名誉教授称号授与」に関する理事長による回答】

更新日:2023年5月31日

はじめに

 

 5月2日、東京神学大学前学長芳賀力氏に対する、名誉称号、名誉学位授与式が行われました。その様子については、5月6日の記事をご覧ください。

 これを受けて、当会代表の松原和仁氏が東京神学大学理事長近藤勝彦氏に宛てて、①名誉称号・名誉学位授与の決定プロセスについて②仕組み債への買い替えによる9000万円の損失の責任を質す内容の文書を送付しました。

 その結果、5月20日付で東京神学大学常務理事会と理事長名で回答が届いたので、ここに公開します。



◆回答に対するコメント

 理事長による回答文を通して、この度の一連の問題における、東京神学大学理事会の見解が示されました。(5月6日の授与式の祝辞において理事の一人が、「芳賀先生は冤罪事件に巻き込まれた」と語っていたことには、驚きを通り越し、あきれるほかありません)

以下に今回送られてきた回答文を引用しつつ、問題点を記します。


1.元学生に対するプライバシー侵害についての大学の回答

「二人の教授からハラスメントを受けたとして起こされ、後に原告の請求が棄却された裁判について、芳賀力氏が牧師たちに説明した際に、学生の成績に言及したことが、プライバシー侵害とされました
これは東京神学大学を批判する文書が諸教会に送られている中、限られた牧師たちのみの会において起きたことです。東京神学大学の伝道者養成は、諸教会との協力の中で行われていますので、牧師との会談の中で必要性があるときは、信頼関係に基づいて、神学生の成績に言及することは過去にもなかったことではなく、理事会としてこれを大きな逸脱として訓戒等に処することはできないと判断しました」
・そもそも、学長としての守秘義務が守られていないこと、過去にも神学生の成績について本人の了承なく、学外の第三者に言及されていたこと自体が大きな問題

・元神学生は成績を暴露されたことにより、「精神的苦痛を受けた」という決定的に重要な視点が欠けている

・これこそ、大学としてのガバナンスが破られている出来事である

・被害を訴えた学生に対する牧会的配慮はなく、どこまでも自分たちの対応を正当化している

2.元教授に対する人格権侵害と名誉棄損についての大学の回答

「個人のブログにおける発言が人格権侵害に当たるとされた件については、当時の学長大住雄一教授が注意を与え、芳賀力氏はその記述を削除しました。この事実を知りつつ、後に教授会は芳賀氏を再度学長に選び、理事会がこれを任命ました。従ってこの問題を理由にして名誉称号授与を覆すことができないと理事会は判断しました」
「関川元教授が依願退職した際に事情説明のため芳賀学長が事務職員に配布した文書の一部に名誉棄損に当たる箇所があるとされました。当該文書のほかの部分は裁判所によって事実として認定されましたが、二箇所については証拠が不十分であり、名誉棄損とされました。その二箇所は当時の学内外の意見を聴取しながら記されたもので、他の人の証言も添えられていたことを考え合わせ、理事会として譴責や訓戒等の処分に付すことはできませんでした
・芳賀氏のブログにおける誹謗中傷を知りつつ、芳賀氏を再度学長に選任した当時の教授会と芳賀氏を任命した理事会の見識を疑う

・司法によって人格権侵害と、名誉棄損という不法行為が認定されたにもかかわらず、そのことが理事会において問題とされないというのは、理解に苦しむところ
(ちなみに、理事会は2019年に関川元教授に対し、チャペル礼拝の説教の中で、学内で起こっている問題に言及したことを理由の一つとして、十分な吟味もなく、速やかに戒告処分を下している。戒告理由には「同僚教師に対する個人批判」がその理由の一つとして挙げられていたが、芳賀氏のブログの内容は元教授を「悪魔的人間」と評する「個人批判」を超えた「誹謗中傷」であった。そもそも、元教授の説教では「個人批判」はなされていない。)

3.仕組債購入についての大学の回答

「なお、2016年から2017年にかけての債権の売却と購入によって9000万円の処分差額の計上に至ったことにつき、芳賀力氏の責任をどう考えるかという問題については、現理事会は以下のように考えております」
・9000万円の損失について、当初はあくまで「処分差額」であって、「損失ではない」と説明していたが、2022年9月21日付「東京神学大学資産管理についてのご説明 (第二報)」では、「売却損」と認めている。
国債を売却し、SMBC日興証券を介して、ドイツ銀行債権(筆者注:仕組債)を購入した問題は、専門家を加えた基金管理の体制なしに実行された点に疑問のあるところです。2017年に発生した処分差額の問題とともに、その債券の内容、ならびに一部債券への集中投資により、不自由と一定のリスクがもたらされました。しかしながら、この売却と購入の実行は、学長の交代期に重なり、二人の学長が関係しつつ、当時の理事長の承認のもとに行われたことです。その結果を理事会も承認してきました。従って、芳賀氏一人に責任を追及すべきものではないと思われます」
・第3号基本金(奨学金等に宛てられる基金)という学校法人会計において聖域ともいえる基金であるにもかかわらず、金融知識が不十分な一部の理事たちの主導で、リスクのある債券に手を出してしまった。

・現在、新聞でも仕組債のリスクが盛んに報じられている。大手証券会社は相次いで、仕組債の個人向け販売を停止している。それほどリスクが大きいのが仕組債。少なくとも素人が手をしてはいけない金融商品。回答でも認めているように、「専門家を加えた基金管理体制なしに実行された」ことは大きな問題「不自由と一定のリスク」が具体的にどのようなものなのかを、当会は再三にわたって質問しているが、具体的リスクについての説明はなされていない

・当時の学長理事・財務理事を筆頭に、金融知識が不十分な一部の理事たちが主導して大きなリスクを背負ってしまったことが問題

・国債を売却し、最初に仕組債に買い替えたのは芳賀力氏が一期目の学長を務めた時である。元本保証を捨てて、元本棄損リスクを取ったという点でとても大きな転換であり、その責任は重大。当然それを承認した理事会は同等の責任を負う。
「また、2016年の国債の売却は、キャンパス整備計画を推進するために行われたもので、その売却益は約1億2800万円となっており、2017年の処分差額9000万円を越えたものでした。さらに結果としてこのドイツ銀行債券の高利率による利子によって、2017年から現在に至るまでの間に、処分差額の9000万円を超える9150万円の利子が得られており、その利子収入は毎年の経常会計を支えています」
・東京神学大学が保有している仕組債の満期は2016年から30年後の2046年。今は利息を得られていても、景気や為替の変動により、利率は上下し、常にハイリスクがつきまとう。仕組債は国債と異なり、元本棄損リスクがある。

・当会が再三東神大に問うているのは、どのような条件のもとで、元本棄損リスクがあるのか、ということ。しかし、東神大は現在高利率で利息を得られているという説明だけで、詳細についての説明がなされていない。債券の時価も公表していない。

・2016年に国債の売却によって、1億2800万円の売却益を得たことをことさらに強調しているが、これは9000万円の損失とは時系列が異なる。国債売却後の2017年に、仕組債を買い替えたことにより、9000万円の損失が出たのである。9000万円の損失は、仕組債に買い替えなければ、発生することのなかったものである。

・利率が高いということは、その分リスクも大きいということ。当然献金者に対してリスクについて客観的資料に基づき、説明責任を果たすべきである

・約13億円あった第3号基本金のうち、約5億円が仕組債で運用されている(これは30年間動かせず、塩漬け状態となることが推測される)。残り8億円のうち、約4億5000万円をキャンパス整備のために取り崩してしまった。よって、第3号基本金に現在現金として残っているのは3億円程度だと推測される。

まとめ

・東神大からの回答は、前学長がプライバシー侵害、人格権侵害、名誉棄損で訴えられ、不法行為が認められたにもかからわらず、学内では、何も問うことなく名誉称号を与えたというもの。不法行為が認定された判決そのものを完全に無視した内容となっている

・芳賀前学長は現在も特任教授として東神大から給与を得て、教壇に立っている

・理事長の回答は、東京神学大学理事会の公式見解として、裁判の結果を軽視するばかりか、認めていない。あたかも自分たちが被害者であるかのような仕草である

・一連の回答には、元教授や元神学生に対する謝罪の言葉はおろか、「責任を感じている」という真摯な言葉が一切ない

・このような著しい倫理観の欠如の姿勢を持ち続ける東京神学大学が、果たして伝道者養成という神から委託された責務を遂行できるのか

・ハラスメント、仕組債、一連の問題を見過ごしてきた理事会、評議員会も大きな責任が問われる

 以上、理事長からの回答文について、コメントを記しました。引き続き、理事会の責任ある対応を求めて参りたいと思います。


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